液体窒素を何回も続けているのに、イボが治らない方へ
イボが治りにくい理由は、できている場所や大きさ、皮膚の厚さなどによって異なります。大切なのは、液体窒素を何回行ったかだけでなく、少しずつ改善しているかを確認することです。
数か月続けても変化が乏しい場合は、
診断や治療方法を見直すことがあります。
こんにちは。稲沢しばた皮膚科です。
今回は、「液体窒素を続けてもイボが治らないのはなぜ?」というテーマについてお話しします。
- 「何回も液体窒素をしているのに、なかなか治りません」
- 「半年くらい通っています。このまま同じ治療を続けても大丈夫ですか?」
これまで皮膚科診療に携わる中で、患者さまからこのようなご相談を数多く受けてきました。
液体窒素はイボの代表的な治療ですが、1回で治るとは限りません。
特に、足の裏や爪のまわり、数が多いイボは、治るまで時間がかかることがあります。
大切なのは、「何回治療したか」だけではなく、前回より小さくなっているか、少しずつ良くなっているかを見ることです。
そもそも、イボって何ですか?
患者さまが「イボができた」と言って受診される「イボ」の中には、
皮膚科専門医から診ると「イボ」ではないできものも多く含まれています。
私たち皮膚科医は「イボ」を正しく診断して、
良性のできものなのか、悪性のできものなのかを見極め正しい治療を行なっています。
「正しい診断が正しい治療に結びつく」、
当たり前のことですが、いつも忘れず診療に従事しています。
実はウイルスによるイボにも様々な種類がありますが、今回は子供の手足にできるイボである、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)について分かりやすく説明いたします。
イボは、なぜできるの?
イボは、ウイルスが皮膚の小さな傷などから入り込むことでできます。手や指、足の裏、爪のまわりなどによくみられます。
手のイボは表面がざらざらして盛り上がることが多い一方、足の裏では体重がかかるため、平らに見えることがあります。
そのため、「魚の目だと思っていた」「自分で削っていた」「市販薬を使っているけれど治らない」という方も少なくありません。

→ 関連記事:「足の裏のイボ・魚の目・タコの違い」【準備中】
液体窒素は、イボの基本的な治療です
液体窒素は、とても低い温度でイボを凍らせる治療です。皮膚科で広く行われています。
ただし、「液体窒素を当てれば、その場でイボが取れる」という治療ではありません。
一般には1〜2週間ほど間隔をあけて、何回か治療を続けます。
治るまでの期間は、イボの場所、大きさ、数、できてからの期間などによって変わります。
数回で良くなる方もいれば、数か月かかる方もいます。
イボの液体窒素処置は何回やれば治りますか?
何回治療すれば治るかは断定できません。
特に足の裏や爪のまわりは、治療に時間がかかることがあります。
回数だけを見るのではなく、前回より小さくなっているか、表面が平らになってきているか、普通の皮膚の模様が戻ってきているかなどを確認します。
液体窒素を続けても治らないのは、なぜ?
何か月か治療してもほとんど変わらないときは、「なぜ治りにくいのか」を一度考えることが大切です。
- 足の裏や爪のまわりなど、もともと治りにくい場所にある
- 皮膚が硬く厚くなっていて、治療が届きにくい
- イボが大きい、または数が多い
- できてから長い時間がたっている
- 痛みが強く、十分に治療できない
- 治療中にも新しいイボが増えている
- そもそもイボではない可能性がある
治りにくいからといって、すぐに強い治療へ変えるわけではありません。
まず、今の治療でどのくらい変化が出ているかを確認します。
数か月たっても変わらないときは、治療を見直します
日本皮膚科学会の「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」では、
足の裏のイボなどについて、3か月ほどを一つの目安に治療効果を確認し、
必要に応じて治療方法を変えたり、組み合わせたりする考え方が示されています。
つまり、「半年続けたから、さらに半年同じ治療を続ける」というよりも、
途中でいったん立ち止まり、治療が効いているかを確認することが大切です。
「本当にイボ?」を確認することも大切です
治療を続けてもまったく変わらない場合は、治療方法だけでなく、診断そのものをもう一度確認することがあります。
特に足の裏では、イボ・魚の目・タコがよく似て見えます。診察では、表面を少し削って確認したり、必要に応じて皮膚を拡大して見る機器を使ったりします。
イボでは、普通の皮膚の模様が途中で切れていたり、小さな点のような出血が見えたりすることがあります。
一方、魚の目では皮膚の模様が比較的残っていることがあります。

→ 関連記事:「足の裏のイボ・魚の目・タコの違い」【準備中】
足の裏や爪のまわりのイボは、治るまで時間がかかることがあります
足の裏は皮膚が厚くなりやすく、歩くたびに体重がかかります。そのため、ほかの場所より治療に時間がかかることがあります。
爪のまわりも、爪や周りの皮膚を傷めないように治療する必要があるため、強く治療しにくい場所です。
また、イボが何個もまとまっている場合や、長く続いている場合も、治療に時間がかかることがあります。
液体窒素以外のイボ治療を考えることもあります
液体窒素だけでは十分に良くならない場合は、
イボの状態に合わせて、ほかの治療を検討することがあります。
- 硬くなった皮膚を薄くする処置
- サリチル酸などの塗り薬
- ヨクイニンの飲み薬
- 電気を使った治療
- レーザー治療
- そのほかの塗り薬
どの治療が合うかは、年齢、イボの場所・大きさ・数、これまでの治療、痛みへの感じ方などによって変わります。
治療によっては保険が使えないものもあります。また、すべての治療を当院で行うわけではありません。
「液体窒素で治らないから、すぐにレーザー」というわけでもありません。まずは今までの治療への反応を確認したうえで、次の方法を考えます。
レーザーなら1回で治りますか?
レーザーでも、必ず1回で治るわけではありません。見た目がなくなったあとに、もう一度出てくることもあります。
レーザーを考えるときは、治療後に傷ができること、痛み、傷の手当て、再発する可能性なども説明したうえで、その方にとってメリットがあるかを考えます。
治りにくいイボの治療について
イボは身近な病気ですが、なかなか治らず困ることも少なくありません。
院長は大学病院や基幹病院で、液体窒素で改善しにくいイボや、数が多いイボの診療にも携わってきました。トヨタ記念病院皮膚科医長として勤務していた際には、第119回日本皮膚科学会総会の教育講演「大学病院での疣贅治療の実際(外用剤を中心に)」について、マルホ皮膚科セミナーでも解説しています。
当院でも、液体窒素の回数をただ重ねるのではなく、
「今の治療で良くなっているか」を見ながら、必要に応じて治療方法を見直します。
イボを増やさないために、自宅でできること
イボをむしったり、自分で刃物を使って削ったりするのは避けてください。
皮膚を傷つけると、その周りに広がるきっかけになることがあります。
- イボをむしらない
- 爪でいじらない
- カッターなどで削らない
- 触ったあとは手を洗う
- 手荒れや傷をそのままにしない
お子さんは、気になって触っているうちに周りへ増えることがあります。
数が増えてきたときや、日常生活で気になるときはご相談ください。
→ 関連記事:「イボは家族にうつる?自宅で気をつけたいこと」【準備中】
こんなときは、一度ご相談ください
- 液体窒素を何か月も続けているのに、ほとんど変わらない
- 少しずつ数が増えている
- 足の裏にあり、魚の目かイボか分からない
- 爪のまわりにできている
- 治療の痛みが強く、続けるのがつらい
- 自分で削って出血している
- 一度治ったように見えたのに、また出てきた
稲沢しばた皮膚科のイボ診療
当院では、「とりあえず同じ液体窒素を続ける」のではなく、前回からどう変わったかを見ながら治療を進めます。
「前回より小さくなったか」「普通の皮膚に戻ってきているか」「新しいイボが増えていないか」などを確認し、変化が乏しい場合は診断や治療方法を見直します。
まずは一般皮膚科・保険診療で必要な診断と治療を行います。治りにくい場合にはほかの方法をご提案することもありますが、治りにくいという理由だけで不要な自由診療をおすすめすることはありません。
「このまま液体窒素を続けていていいのかな」と感じている方も、お気軽にご相談ください。
診療案内:稲沢しばた皮膚科「一般皮膚科」
よくある質問
Q.イボは自然に治ることもありますか?
あります。特にお子さんでは自然に消えることもあります。
ただし、いつ治るかを予測することはできません。数が増えている、痛みがある、生活に支障がある場合などは治療を考えます。
Q.液体窒素は毎週しないといけませんか?
必ず毎週というわけではありません。一般には1〜2週間ほど間隔をあけて行いますが、年齢、場所、治療後の皮膚の状態などによって調整します。
Q.液体窒素のあとに水ぶくれができました
治療後に、赤み、痛み、水ぶくれ、血豆ができることがあります。
小さいものはそのまま様子を見ることもありますが、大きな水ぶくれ、強い痛み、出血などがある場合はご相談ください。
Q.魚の目とイボは、自分で見分けられますか?
見た目だけでは分かりにくいことがあります。
「魚の目だと思って市販薬を使っているけれど治らない」という場合は、一度皮膚科で確認することをおすすめします。
この記事の医学的な情報について
この記事は、日本皮膚科学会の診療ガイドラインなど、信頼できる医学情報を確認したうえで、患者さんに分かりやすい言葉に置き換えて作成しています。
- 日本皮膚科学会「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」
- 日本皮膚科学会「一般公開ガイドライン」
- マルホ皮膚科セミナー 放送内容集アーカイブ
- 皮膚科Q&A 日本皮膚科学会(https://qa.dermatol.or.jp/qa23/q01.html)

